やる気と思いやりのある子に

園長  小林 直己 

 今日、青少年の非道極まりない行動が新聞紙上を賑わすなど目に余るものがあります。
すぐ傷つけたり、逆に傷つけられたり、簡単に非行に走る。そのような行動は自立が出来ていない証ではないでしょうか。過日、久しぶりにある中学校の前の文房具屋に立ち寄った折、こんな話を聞きました。『中学三年生の女の子数人が校門の前にたむろして、平気で煙草を吹かしている。その子たちは小学生のときからの顔見知りなものだから「だめだよ、煙草なんて吸っちゃ!」と言ってもただニヤニヤしているだけ。何回言ってもやめてくれない。校門の前で煙草を吸っているのだから学校だって知らないはずはないと思います。また、道を通る大人も見てみぬ振りをして関わろうとしない。』と切々と訴えられました。どんな子どもでも何らかの素晴らしい素質を授かって生まれてきているのに、どうして、14歳ぐらいの子どもたちがそのような行動をとるのでしょうか。

  園児たちに関わってよく看ると、子ども自身の努力を助けながらその気にさせていけば幼児なりに考えて行動する力を持っています。なぜ、十年足らずに間に変容してしまったのでしょうか。 おそらく、親や教師を含めて子どもを取り巻く大人たちが、絶えず大人の視線・価値観で子どもを支配しすぎていたか、放任していたかに尽きるのではないでしょうか。      

 幼児には、もともと本能的に遊びを好み、探究心が旺盛なところがあります。これを阻害するのは大人たちです。やれ「危ない」やれ「うるさい」などと可愛さの余り過保護にしたり、大人の都合で束縛したりするからだと思います。

 周りの大人は子ども自身の努力を助けその才能を伸ばしていきながら、人の立場を考え、人の役に立つ喜びを体験させていきたいものです。

そのために、日々模倣活動を通しながら(感化していく)自然体験や社会体験を重ねさせ育てることだと思います。

@頭(脳)に汗をいっぱいかく。(子どもの話に耳を傾ける。出来不出来よりも過程を大切にする。達成感・成就感・満足感を味あわせていく)

A体にいっぱい汗をかく(集団の中で楽しく遊ぶ。単発的なこと長期的なことに関わる(進度の度合いなどを視覚的感覚的に捉えさせ継続していくことの喜びを味あわせていく)

 B心いっぱいに汗をかく。(多くの友達の中で切磋琢磨し、助け合い、ぶつかり合いながら他人を尊重し、自分と違う友達を認め交わっていく場を多くつくる)

 このような環境の中で繰り返し刺激を与えながら、共感の喜びや癒し、励ましが多くなれば、非行に走ったり問題行動を起こす事はなくなると思います。人間として自立し、自分の持って生まれた素質を十分に伸ばしていかれると信じています。

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